ことばひとひら ~つーさんの妄想日和~

流されながら、向き合いながら、感じたモノを一片のコトバに

その涙は、真っ黒で、無色だった。

たいしたことは無いはずだった。

 

ただ、静かなお茶室で

そっと秋の空気に触れて

ぼんやり思い感じていたら

 

なんだか、ふと泣けてきて。

そのままなぜだか止まらなくなった。

 

これまで少しずつ積もっていたものが

わけもなく溢れ出してきたようで。

そういえば、ずっと前から泣きたかった、

そんな気がしてきた。

 

その涙は

怒り、戸惑い、悲しみ、絶望、

後悔、憎しみ、痛み、叫び、

全部ないまぜにした真っ黒な色で

 

そしてその涙は

特に意味はなく、

誰に向けられたわけでもなく、

何かを洗い流す無色だった。

 

 

今日の私には

同じ古民家の大広間ですら

人が集まり、刺激が強かった。

 

だからきっと、

優しく黙って包み込んでくれる茶室に

気が緩んだのだと思う。

 

 

一度溢れてくると、止まらない。

 

私は何をしてきたんだろう。

あぁ、今なんてダサいんだ。

何か残せたか、託せたのか。

やらない方が良かったのか。

ちゃんと、前進しているか。

ちゃんと、向き合って来たか。

本気で、打ち込んでみたことがあるか。

 

私は、何者だ?

私は、ちゃんと中身があるか?

 

なぜ生きてるのか、

なぜ生きねばならないのか

 

私とは、いったい何なんだ?

 

あぁ、ひとりだ。

あぁ、一人ぽっちだ。

私は、私は必要?不要?

 

 

不安になった。

心細かった。

 

誰かに抱きしめて欲しかった。

触れたかった。

だから自分をギュッと抱きしめた。

 

大丈夫だよ、あなたはここにいるよ。

肩書きじゃない、あなたがちゃんと

ここにいるよ、受け止めているよ。

誰かに、そう言って欲しかった。

 

いつの間にか上手くなっていた

声を挙げない泣き方。

それすらも、しばらく涙さえなくて

すすり声が少し漏れた。

 

「大丈夫か?」

そっと、気がついた彼が

小さく声をかけてくれた。

 

大丈夫ではない気がした。

この暗く心細いところから

引っ張りあげてほしい気もした。

 

でも、自分でも分からない。

何を話したいのか、何に泣いてるのか

自分でも分からない。

 

だから、ちゃんと反応出来なかった。

 

「自分が必要だったらいつでも声をかけて」

嬉しかった。優しかった。

 

すがりたかった。

 

助けて、という勇気は、なかった。

 

気にかけてもらえただけで、

その優しくささやく声で、

十分すぎた。

 

 

泣くのも、疲れた。

頭の中で色々な言葉がグルグル回る。

それも、疲れた。

 

何も答えは出ていない。

何も解決していない。

だけど、ずっと胸の奥に、

胃の奥につかえていたものが

少しだけ外れて通りが良くなった気がした。

 

扉の外には、クレヨンで描かれた

太陽のような赤いエネルギー体と

そこから育まれる可能性の絵があった。